帰り続けるだけは寄り道

映画やミステリー小説の感想などをたまにつらつらと。 過去の記事はマイカテゴリの「INDEX」に作品別、作家別でまとめています。 いただいたコメント、トラックバックは確認後の表示になります。

2012年04月

『バトルシップ』 観てきました

battleship_1ある日、ハワイ沖にアメリカや日本をはじめ各国の軍艦が集結し、大規模な合同軍事演習が行われようとしていた。血気盛んな米海軍の新人将校アレックスは、日本から参加した自衛艦艦長のナガタに激しいライバル心をむき出しにする。そんな中、演習海域に正体不明の巨大な物体が出現する。さっそくアレックスの乗る駆逐艦とナガタの自衛艦、それにアレックスの兄ストーンが艦長を務めるサンプソン号の3隻が偵察に向かう。ところがその正体は、地球に飛来したエイリアンの母船だった。やがて母船は巨大なバリアを築き、人類はそこに閉じ込められた3隻以外に反撃の手段を失ってしまうのだった。

 

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製作国: アメリカ
初公開年月: 2012年4月
監督: ピーター・バーグ
製作: ブライアン・ゴールドナー、スコット・ステューバー、ピーター・バーグ、サラ・オーブリー、ダンカン・ヘンダー、ベネット・シュナイアー
脚本: ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー
撮影: トビアス・シュリッスラー
プロダクションデザイン: ニール・スピサック
出演: テイラー・キッチュ(アレックス・ホッパー)、アレキサンダー・スカルスガルド(ストーン・ホッパー)、リアーナ(レイクス)、ブルックリン・デッカー(サマンサ)、浅野忠信(ナガタ)、リーアム・ニーソン(シェーン提督)

 

 

★予告★



おもちろかったよー\(^o^)/


以上です。

 

 

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『ジョン・カーター』 最近の洋画タイトルはシンプルだねぇ

 

JohnCarter_11881年、元南軍の英雄ジョン・カーターが謎の失踪を遂げ、甥のエドガー・ライス・バローズに一冊の日記が託される。そこには、想像を絶する彼の冒険譚が記されていた――。1868年、騎兵隊の執拗な誘いを拒絶し無気力に生きていたジョン・カーター。彼はある日突然、謎の現象によって未知なる惑星“バルスーム”へと瞬間移動してしまう。いくつかの種族が暮らし、高度な文明を持つバルスームだったが、全宇宙の支配を目論むマタイ・シャンの陰謀によって滅亡の危機に。そんな中、平和を望むヘリウム王国の美しき王女デジャー・ソリスと出会ったジョン・カーター。驚異的な身体能力を発揮する彼は、救世主としてバルスームのために一緒に戦ってほしいとデジャーに懇願されるのだが…。

 

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製作国: アメリカ

初公開年月: 2012年4月

監督: アンドリュー・スタントン

製作: ジム・モリス、コリン・ウィルソン、リンジー・コリンズ

原作: エドガー・ライス・バローズ 『火星のプリンセス』(創元SF文庫刊)

脚本: アンドリュー・スタントン、マーク・アンドリュース、マイケル・シェイボン

撮影: ダン・ミンデル

プロダクションデザイン: ネイサン・クロウリー

出演: テイラー・キッチュ(ジョン・カーター)、リン・コリンズ(デジャー・ソリス)

 

-予告-

 

 

アメリカでは大コケしたらしいですが、そんなに酷いんですかね?

わたしはSF冒険ファンタジーというかヒロイックファンタジーは大抵単純にそこそこ楽しめる方で、というか、どれもこれも同じくらいの面白さに感じるため、面白かったです。

 

・ヒロインがモロに肉感的で戦く。容姿などから昔懐かしアマゾネス映画に出てそうだなぁと思ったら、「火星のプリンセス」の装画で俄然納得。時代的にも。なんというかイマドキでは無いような。むしろ新しいような。 

・ジョン・カーターの美白に戦く。マッチョだけど。 

・タルス・タルカスがウィレム・デフォーて!わかんないYO! 

・予備知識ほとんど無しで観たからなのか、ラストあたりは単純に「おお!」と思った。良かった。先読みしようとするクセにより、一瞬の自己満足と引き換えに損なう楽しさについて、もっと真剣に考えるべき。しかしいまさら難しい。 

・3Dのありがた味があんまり無かった。新宿ピカデリーの3Dの問題なのかもしれない。暗いしメガネ大きいし。IMAXだったら良かったのかな。新ピカだったら2Dでいいと思う。ポイント使って観たからいいけど別に。 

・EDクレジットでProduced byにColin Wilsonを発見し、うちに帰ってからググったらやはりアウトサイダーのコリン・ウィルソンだった。わたし的には「殺人百科の人」ですが。ついでに「スペースバンパイア」の原作もだったと知る。

 

 

原作は古典SF小説「火星」シリーズ第一作「火星のプリンセス」で、何種類か出てるみたいなんだけど、断然創元SF文庫の「火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉」がいいですね。装丁的な意味で。

 

火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉 (創元SF文庫)
火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉 (創元SF文庫)

 

 

そんな感じ!

 

 

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『ドライヴ』 淡い恋と濃厚な暴力描写に悶絶

 

drive天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な“ドライバー”は、昼は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手という2つの顔をもっていた。

家族も友人もいない孤独なドライバーは、ある晩、同じアパートに暮らすアイリーンと偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。不器用ながらも次第に距離を縮めていく2人だったが、ある日、アイリーンの夫スタンダードが服役を終え戻ってくる。そして、本心から更生を誓う夫を見たアイリーンは、ドライバーに心を残しながらも家族を守る選択をするのだった。
しかし、服役中の用心棒代として多額の借金を負ったスタンダードは、妻子の命を盾に強盗を強要されていた。そして、絶体絶命のスタンダードに助けを求められたドライバーは、無償で彼のアシストを引き受けることに。
計画当日、質屋から首尾よく金を奪還したスタンダードだったが、逃走寸前で撃ち殺され、ドライバーも九死に一生を得る。何者かによって自分たちが嵌められたことを知ったドライバーは、手元に残された100万ドルを手に黒幕解明に動き出す。だが、ドライバーを消し去ろうとする魔の手は、すでに彼の周囲の人間にも伸びていた。
恩人の無残な死体を発見したドライバーは、報復、そして愛する者を守るため、逃走から攻撃に一気にシフトチェンジした――

 

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製作国: アメリカ

初公開年月: 2012年3月

監督: ニコラス・ウィンディング・レフン

原作: ジェイムズ・サリス

脚本: ホセイン・アミニ

出演: ライアン・ゴズリング(ドライバー)、キャリー・マリガン(アイリーン)、ブライアン・クランストン(シャノン)、クリスティナ・ヘンドリックス(ブランチ)、ロン・パールマン(ニーノ)、オスカー・アイザック(スタンダード)、アルバート・ブルックス(バーニー・ローズ)

 

★予告★ 

 

 

面白かった!

映像のザラつき具合、カメラワーク、カット、アングル、キャスティング、音楽、クレジットの文字、説明セリフの少なさ、ストーリー、キャラクターなど、どれもこれもが個人的にしっくりしてしまいました。

もう前半のロマンスと後半のバイオレンスが真逆の方向に痛々しくて哀しくてねぇ。。

 

  

まず冒頭、主人公“ドライバー”の完璧な仕事っぷりにガッツリ掴まれました。

 

警察の無線傍受しながら冷静に計算して追跡をかわし、カッコイイ!と軽く言うのはためらわれ、さりとてクール!は気恥ずかしい。とにかくいいのよいいのよ。

これ見よがしのドライビングテクニック披露や車の超絶性能でウッヒョーってのも悪くはない。しかし、腕が良いってこういうことよね。ずば抜けたテクニックを有し、最も効率的に無駄無く成功させる。まーもう絶対に信頼できる安定感。

 

 

ある日、ドライバーはアパートの隣人である人妻アイリーンと出会い、恋が芽生える。

このアイリーン役のキャリー・マリガンも良い。セクシー美女では無い、幼さを残した野暮ったさが身近な存在として愛おしくなってしまうのだ。

地下駐車場でドライバーとすれ違う初登場シーンがある。手足が短くボテッとしたお尻の後ろ姿。このときドライバーはまだアイリーンを認識していない。すれ違った程度では決して印象に残ることは無く、生活空間の風景の一部でしかない。

しかし後日、エレベータの中で笑顔でわずかに言葉を交わしてからは、アイリーンは一人の女性として浮き上がり、息子との語らいやアイリーンの生活と人生を垣間見て、特別な存在になる。

 

息子のベニチオも懐き、アイリーンも静かで優しいエンジニアの隣人に好意以上の気持ちを抱くようになるが、夫スタンダードの出所で自分の気持ちにフタをする。

もっとも二人の間には夫に隠さないといけないような男女の関係は無かった。ドライブしたり川で遊んだり部屋でテレビを見たりゲームをしていただけだ。

しかし二人がお互いに惹かれ合っていたのは間違いない。スタンダードもそれを察したが、しかし責めることなくむしろ感謝の気持ちでドライバーに友情を示す。スタンダードの姿勢を見てアイリーンは家族を選ぶ決意を固める。

アイリーン家族三人と新たな関係を作ろうと感情を押し殺すドライバーがなんとも切なくて切なくて。

 

さて、ドライバーは他人の目を引くような美女ではなく普通の若いお母さんのアイリーンに、なぜ一目惚れしてしまったのか?

後半ドライバーのもう一つの面を見るにつけ、納得してしまった。

 

 

スタンダードが撃たれ逃げ延びたモーテルの一室でブランチにいきなり強烈なビンタ。

あれ??

それまで優しくて寡黙で不器用に恋するドライバーだったのにおかしいぞ?

、、、と疑問を覚えつつも考えさせてくれる間もなく、なーんの躊躇も無く脅し、ツワモノの犯罪者に囲まれて生きてきたブランチを簡単に降伏させたと思ったらクックの手下らに襲撃され、咄嗟にマットレスを盾にしながらドアを塞ぎ、ショットガンを構える敵の懐に入り込んでのカーテンレールをもぎ取りそのまま胸に突き刺し、奪ったショットガンで残りの一人を仕留める。

運転と同じく完璧な仕事っぷりである。

誰この人?

 

ドライバーは5、6年前のある日自動車整備工場にやってきて、抜群の腕を持っていたためにそのまま雇われたという。

ドライバーに名前は無い。雇い主の自動車整備工場主であるシャノンからは“キッド”と呼ばれている。

自動車整備工以外のカースタントマンもシャノンの口利きだ。では強盗の逃走請け負いは?

シャノンの自動車整備工場にやって来る前は何をしていたのだろう?

 

映画の中では直接的に描かれていないけれど、普通に何人も人を殺して、生き延びて、名前も過去も捨てて新しい人生をやり直している最中だったのではないだろうか。

カースタントと自動車整備工という表の顔以外に、強盗の逃走を請け負うもう一つの裏の顔を持つドライバーだが、実は裏の仕事も過去に行なってきたことに比べると何倍もマシ、というかドライバーにとってはまともな仕事の部類だったのではないかとすら思える。

 

エレベーターの中で敵を認識し、別れを決意したドライバーはアイリーンに初めてキスをする。ドライバーの切ない恋のクライマックスだ。

が、その直後、敵に襲いかかり頭部を執拗に踏みつけて殺す。アイリーンも客もドン引き。

いつも着ている背中にサソリの刺繍が入ったスカジャンは、すっかり袖と裾に返り血がこびりつき、しかし頓着せずにそのまま歩き回る。

 

狂っている。

愛する人のために悪と対峙する純粋さと完璧なまでの殺傷力、そして暴力に対する罪悪感の無さ。このアンバランスさが恐ろしい。

 

ドライバーは人殺しをも厭わない過酷な経験の末、友達や家族を持つことを望む感情も忘れ去った人だったのではないか。お金にも執着していない。

新しい人生の中でシャノンだけは大丈夫な人として認識し、他は全て風景でしか無かった。

そこに現れたのが隣人のアイリーン。

人目を引く美貌もそそられるスタイルも持たず、服役中の夫を持つ、息子に笑顔を向けて生活している若い女。

ドライバーは何かから足を洗って真っ当に生きているが、刑務所に入るような事に関わる夫を持つアイリーンだからこそ安らぎと居心地の良さを感じたのかもしれない。

アイリーンもまた、寡黙な整備工の奥に潜む何かを嗅ぎ取ったのではないだろうか。

さらにアイリーン母子は夫(父親)が帰ってくることが前提での生活なのだ。死別や離婚のように母子二人の状態が完成形ではない。現状、夫(父親)が欠けており、その穴を穴のままにしている家族なのだ。

ドライバーはその穴に居場所を発見したのではないだろうか。

自分が持つと考えていなかった家族がそこにある。自分が入り込むことで家族の体を成す場所がそこにある。

 

後半のドライバーの暴力に対する衒いの無さは非人間的であり、そんなドライバーがやっぱり凡庸な幸せを得られなかったのは当然の結末で、哀しい。

  

最後はお腹を刺されて重症を負ったまま車で去って行ったが、映画終了したときはドライバーは死ぬと思っていたんだけど、少し時間が経つと、もしかして死エンドじゃないのかもしれないなあと思うようになった。思いたい。

 

 

たどたどしいロマンスとドライバーの表裏両方の完璧な仕事っぷりの対比、少ないセリフと語る映像にしびれっぱなしでした。

相当好きです。

 

 

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