帰り続けるだけは寄り道

映画やミステリー小説の感想などをたまにつらつらと。 過去の記事はマイカテゴリの「INDEX」に作品別、作家別でまとめています。 いただいたコメント、トラックバックは確認後の表示になります。

2012年09月

どうすればいいんですかね。

たまには本を。

「死んでも何も残さない 中原昌也 自伝」

これ読んだのは一年前だけども。

 

わたしはこのどん詰まりを知っている気がする。

それは知っている人であり過去に知っていた人であり過去の自分であり今の自分であるような気もする。

答えは有る。しかし「で?」に辿り着く。そんなのを繰り返す。

一旦は抜け出したつもりでもまた繰り返しに戻る。たとえ環境が大きく変化しようとも、また繰り返しに戻る。何年か後には戻る。

ほんと、「どうすればいいんですかね。」だ。

 

死んでも何も残さない―中原昌也自伝
死んでも何も残さない―中原昌也自伝

 

本人は本を書きたくないから編集が中原昌也の談話をまとめた本なわけで、それもひっくるめてこの一冊の本ってことな感じなのよね、と思う。

本人はそういうのもイヤかもしれないけども。

 

『夢売るふたり』 夢にうつつを抜かす迷惑について

yumeurufutari東京の片隅で小料理屋を営む貫也とその妻、里子。2人が懸命に働いてようやく手に入れたその店は、調理場からの失火が原因で全焼、2人は一夜にして全てを失ってしまう。一からやり直そうと前向きな里子に対し、すっかり投げやりになってしまった貫也。そんなある日、店の常連客だった玲子と再会した貫也は、思いがけず一夜を共にしてしまう。しかも玲子に同情され、大金まで手渡される貫也。里子はそんな夫の浮気に怒りながらも、彼を使って結婚詐欺をすることを思いつく。こうして2人は、孤独な女を見つけ出しては、里子が計画を練り、貫也が実行する二人三脚による巧みな結婚詐欺を繰り返し、店を再開するための資金集めに邁進するのだったが…。

 

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製作国: 日本

初公開年月: 2012年9月

監督: 西川美和

脚本: 西川美和

出演: 松たか子(市澤里子)、阿部サダヲ(市澤貫也)、田中麗奈(棚橋咲月)、鈴木砂羽(睦島玲子)、安藤玉恵(太田紀代)、江原由夏(皆川ひとみ)、木村多江(木下滝子)、伊勢谷友介(太田治郎)、香川照之(外ノ池俊作/外ノ池明浩)、笑福亭鶴瓶(堂島哲治)

 

「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、松たか子と阿部サダヲを主演に迎え、ふとした運命のいたずらから2人で結婚詐欺を始めた夫婦の姿を通して、男と女の単純には割り切れない愛憎と欲望を濃密な筆致で描き出したヒューマン・サスペンス。

 

★予告★

 

 

ちょいちょい笑えるし松たか子もその他の女優陣もとても良い。

題材もおもしろい。

でも阿部サダヲ演じる貫也が男として受け付けんかった。ダメだわ。

 

この夫婦が行う結婚詐欺は、里子が製作兼監督で、主演が貫也というという体裁。

でも実際は貫也自身が指摘して責めたように、里子の“足りない”はお金ではない。貫也の浮気の腹いせであり、他人の亭主の美味しいところだけさらってのうのうとしてる女への復讐。

貫也はそれをわかっているのに、なぜ結婚詐欺を続けるのか。そこが飲み込めなかった。

 

里子の指示で女の心の隙間に入り込んで心を開かせて寝てお金を出させる。

スカイツリーを眺められる隅田川のほとりにステキな店を構える夢を見る貫也。貫也の夢に乗る里子。そのための結婚詐欺。

なぜ貫也は妻以外の女とセックスしてまで結婚詐欺を続けるのか?

ふたりの夢のため。自分の夢に乗ってくれている里子の夢に応えるため。というのは表向きの理由。

裏の理由は里子の命令だからであり、浮気の罰だからである。

 

貫也が自分の夢のために率先して結婚詐欺を行って、里子を犠牲にしてるのならまだいいんですよ、わたしの価値観としては。貫也は心の奥底で“ひとでなしの自分”という十字架を背負うことになるから。

里子が貫也に結婚詐欺(他の女に優しくしてべったりにさせて寝させてお金を引っ張る行為)をさせるのは、怒りのあまりに思いついたことで、自傷の代償行為のようなもののように思える。

貫也は“夫婦の夢のため”“里子のため”と信じて、実際は自分の妻を鬼にしてるし、自分の妻の心が凍っていくのをそのままにして、滝子の家で滝子の父親と息子と擬似家族の束の間の幸せに浸っている。その間、里子には寄り添う他人は居ない。貫也の浮気に対する怒りのやり場として始めた結婚詐欺によって、里子の傷口は深く大きく広がり、膿み、患部は壊死しつつある。

最後の最後まで貫也が自発的に、里子の苦しみに向き合うことは無かったように思う。

 

ラストは結局この夫婦はまた寄り添って生きるだろうな、という前向きな終わり方なわけですよ。

責め続ける妻と逃げ続ける夫の図はリアルと言えばリアルかもしれないけど、そんなのヤじゃん。

 

妙に長いのも、鯛の鮮度を巡る乱闘場面で阿部サダヲがわざとらしい演技なのも気に入らないけど、そんなのは微々たる問題で、何より貫也の性格は無いわ。馬鹿だし。

当面は我慢して働けばいいのに、それは料理人としてのプライドが許さず、お互いに傷付け合って、関係無い他人の心の中に入り込んで騙してお金を引っ張って、挙げ句の果てには(身代わりになったとは言え)幼い子供に人を傷つけさせる。

貫也は重量上げ選手のひとみを化物に見立てた言い草で憐れむ里子を軽蔑するが、自分が汚れ仕事を引き受けることで、里子の気持ちを無視している貫也の方が最悪な人間だ。残酷なことさせんなよ。。と思う。

人は強くないし、正しいことだけで生きるものでも無いし、このふたりにはこのふたりの関係があるのは当然として、でもこれは無い無い。

この夫婦が売ったのは自分たちの夢ではなく、人としての尊厳みたいなもののような気がする。

 

 

また文句ばっかみたいな書き方になってしまいましたが、面白く無いわけではなく、てか面白いですよ。貫也のズルさが嫌いなだけです。

特に好きな場面は、貫也を見つけた咲月(田中麗奈)が貫也に馬乗りになって殴りつけていると、私立探偵の堂島(笑福亭鶴瓶)に髪の毛を鷲掴みにされて引きずられて、顔の横にパンチ入れられるところは怖くて良かった。

登場人物では風俗嬢の紀代が良かった。それと紀代の元彼の伊勢谷友介が、あんなんでもやっぱりかっこ良いなぁ、てかあんなんだとかっこ良さがさらに際立つのね、と妙に感心した。

そんで、とにもかくにも松たか子が怖くて良かった。松たか子の怖さを味わう映画として観るとすっごい面白い。そんな感じ!

 

 

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夢売るふたり [Blu-ray]
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『プロメテウス』 You Are My Lucky Star

prometheus2089年、世界各地の古代遺跡からある共通するサインが発見される。科学者のエリザベス・ショウはそれを分析し、地球外知的生命体からの“招待状”と確信する。そして巨大企業ウェイランド社が出資した宇宙船プロメテウス号に乗り、人類の起源を探るべく“招待状”が指し示すはるか彼方の惑星を目指す。2093年、長い人工冬眠から目覚めたエリザベスの前についに目的の惑星が姿を現わす。彼女は一緒に旅をしてきた他の乗組員、公私にパートナーのホロウェイや冷徹な女性監督官メレディス、精巧なアンドロイドのデヴィッドらとともに未知の生命体を求めて調査を開始するのだが…。

 

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原題:Prometheus

製作国: アメリカ

初公開年月: 2012年8月

監督: リドリー・スコット

製作: リドリー・スコット、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル

製作総指揮: マイケル・コスティガン、マーク・ハッファム、マイケル・エレンバーグ、デイモン・リンデロフ

脚本: ジョン・スペイツ、デイモン・リンデロフ

撮影: ダリウス・ウォルスキー

プロダクションデザイン: アーサー・マックス

衣装デザイン: ジャンティ・イェーツ

編集: ピエトロ・スカリア

音楽: マルク・ストライテンフェルト

出演: ノオミ・ラパス(エリザベス・ショウ)、マイケル・ファスベンダー(デヴィッド)、シャーリーズ・セロン(メレディス・ヴィッカーズ)、イドリス・エルバ(ヤネック)、ガイ・ピアース(ピーター・ウェイランド)、ローガン・マーシャル=グリーン(チャーリー・ホロウェイ)、ショーン・ハリス(ファイフィールド)、レイフ・スポール(ミルバーン)、イーモン・エリオット(チャンス)、ベネディクト・ウォン(ラヴェル)、ケイト・ディッキー(フォード)

 

「エイリアン」「ブレードランナー」の巨匠リドリー・スコット監督が、「エイリアン」と同じ世界観を背景に描くSFミステリー超大作。人類の起源を求めて未知の惑星へと旅立った探査チームが目の当たりにする驚愕の真相を、スケール感溢れるダイナミックな3D映像で描き出していく。主演は「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパス、共演にマイケル・ファスベンダー、シャーリーズ・セロン。

 

★予告★


 

ユナイテッド・シネマとしまえんIMAX3Dとかで観ました。

 

とにかく映像がすばらしい!

どこを取っても美しく、きっちりかっちり作られていて、物語の世界観にどっぷり浸れます。

特に冒頭の映像は感動。水に雲に筋肉に気持ちの悪い液体に人体破壊。大好物ばかりじゃないの~ぉ!ありがとう!生きてて良かった!

 

物語は、古代壁画から人類創造にまつわるヒントを得た学者が、大企業の資本で作られたプロメテウス号に乗り込み宇宙に探索に行くが、目的の星で生物兵器に襲われ、2日間で壊滅。生き残った女考古学者とアンドロイドが、人類の創造主であり生物兵器の創造主でもあるエンジニアの母星へと謎の解明に旅立つ、という話。

人類の創造は初っ端に明かされるので、そういうもんだと思って乗り切れば、超ビッグバジェットでルックはあくまでもシリアスなSFホラーを堪能しつつ、怒涛のトンデモ展開にクラクラさせてもらえます。こんな贅沢な機会はめったにないですよ!!

 

 

prometheus_shawエリザベスの身体能力が面白くてたまりません。

エリザベスは信仰心を持った純粋というか真っ直ぐな考古学者ですが、イカを身ごもったあたりからイカ作用によって超人化したのです。なので帝王切開直後でも走れるし地割れも飛び越えられるし、ホチキスで留めただけのお腹を殴られても、巨大イカと白巨人がお腹に落ちてきても痛いけど大丈夫。ちょいちょい映る、画面の端っこで激痛に襲われているショウ博士を見逃してはいけないと思います。

後半のエリザベスに対する過酷連射を見るに、スウェーデン版「ミレニアム」シリーズのリスベットに目をつけたのも納得。次シリーズでのさらなる試練を期待せずにはいられません。

 

メレディスのデヴィッドに対する憎々しげな態度がいい。

デヴィッドに詰め寄って顔に手を押し付ける姿に惚れ惚れします。マイケル・ファスベンダーにアレはさすがセロン。最後もいい!

 prometheus_millburn

迷子になるミルバーンとファイフィールドのドジっ子っぷりもいい。

コブラ型チェストバスターに、ウッヒョー!めっちゃカワイーヨー!ビューティホー!怖がらないでベイビー♪とキャッキャウフウフ近づいて、迷わず噛み付かれ、腕に巻き付かれ、へし折られ、折られた肘関節から体内への侵入を許すミルバーンのムツゴロウさん魂には頭が下がるし、ファイフィールドのゾンビ化も良しっ!キタっ!

 

ウェイランド社長の見事な残念っぷりもツボだし、白巨人のファイトなんかまさかの素手!

 

ヤネック船長とチャンスとラヴェルはしっかりシリアス面を支えていて良かった良かった。

 

prometheus_davidそしてなんといってもデヴィッド。

過剰にかわいらしい。乗員が睡眠中に一人遊びをするデヴィッドは、しっかり堪能させていただきました。エンジニアの操縦席に座るうれしそうな様子や、毟り取られた頭をエリザベスにバッグに入れられ、気まずそうに「ごめんなさい」と謝られたたときの笑顔にホッコリ。嵐に吹き飛ばされたエリザベスとチャーリーをあっさり救出するアンドロイドな後ろ姿はかわいいし、OKの合図は超絶頼もしい。と、飼い主目線で愛でりまくりですが、手術後のボロボロのエリザベスを見て白衣をサッとかける紳士な物腰には女子目線でグッときます。デヴィッドがいれば大丈夫。そもそもエンジニア探索調査もデヴィッドひとりだけで良かったような気がしますが、人間がいないといけないのでしょう。人間の都合として。

デヴィッド特別映像。マイケル・ファスベンダーはどこへ行く。

 

チャーリーは…えっと、、、、、、、、目から寄生虫出してくれたからいっか。。

 

 

トンデモ展開のところはありますが、だいたいの話はわかるのではないかと思います。

謎を残したまま終わりますが、それは謎のままでよくて、三部作だからそのうち回収されるかもしれないです。個人的には回収されなくても別にいいですけども。

あ、三部作とは言っても、「プロメテウス」は「プロメテウス」として一応終わってますよ。

と言いつつ、わたしは字幕(なっち)での理解なので、なんか間違った解釈をして納得しているのではないかという不安が常に付き纏うのですが。。。

 

 

しかしながらわたしも気になるところはあります。本筋とは関係無い、どうでもいい部分ですけども。

 

 

まず1個目。

エンジニアのC型宇宙船に特攻したプロメテウス号ですが、ヤネックとチャンスとラヴェル以外の乗員はどうなったんだろう?

 

prometheus_crew乗員は17名

1.エリザベス→脱出

2.チャーリー→デヴィッドの実験台になってゾンビ化し、メレディスに火炎放射器で焼かれて死亡

3.ミルバーン→カワイコちゃんに侵入されて死亡

4.ファイフィールド→頭から黒水に突っ込んでゾンビ化し、車に轢かれて火炎放射器で焼かれて死亡

5.フォード→白巨人に投げられて死亡

6.社長に同行した男乗員→白巨人に投げられて死亡

7.デヴィッド→白巨人に頭もがれてエリザベスに回収されて脱出

8.メレディス→C型宇宙船の下敷きになって死亡

9.ヤネック→特攻

10.チャンス→特攻

11.ラヴェル→特攻

・・・ここまでで11名。(ウェイランド社長はこっそり乗り込んでたので人数からは除外)

あとファイフィールドに殺された人が2名以上いる。

でもその人達とは別に、ファイフィールドが暴れたよりも後に社長室の入口に男乗員が2名立っていて、この2名は社長達がC型宇宙船に向かったときにはプロメテウス号内に居たはず。

なので特攻のときにはヤネック達3人とメレディス以外に、少なくともこの2名がいたはずなんだけど、この人達はどうなったんでしょうか?まぁ特攻に巻き込まれたと考えるのが無難そうですけど、乗員達の処理としては置き去り感があります。

 

 

もうひとつ。

LV.223での滞在日数がわからない。

 prometheus_prometheus

・乗員が目覚めたのは12月21日。

・LV.223で謎の建造物を発見したのも同じ日だったと思うんだけど、まぁ翌日でもいいとして12月22日。

発見した日に初めて建造物に入る→倉庫発見→ファイフィールドとミルバーンと別れる→エンジニアの頭部回収&デヴィッドがツボ回収→嵐→エンジニアの頭部調査~爆発→エンジニアのDNA調査→デヴィッドがチャーリーに黒水入りのお酒飲ませる→エリザベス&チャーリー、メレディス&ヤネックおやすみなさい

・その翌日。12月22日か23日。

チャーリーの目から寄生虫が飛び出る→ファイフィールドとミルバーンを探しに建造物へ行く(二回目)→デヴィッドは通信機器の調査と称して別行動を取り、操縦室を見つけ、生体反応のあるエンジニアを発見→チャーリーに異変→プロメテウス号に戻る→チャーリーがゾンビ化して焼き殺される→エリザベスが病室で目覚める。そんで妊娠発覚→エリザベス、自ら自動医療ポッドでお腹切ってイカ取り出す→社長がエンジニアに会いに建造物(三回目)→白巨人目覚めて大暴れ→エリザベスだけ逃げ切る→建造物からC型宇宙船が飛び立つ→プロメテウス号がC型宇宙船に特攻→巨大化したイカに白巨人が侵入される→エリザベスとデヴィッドはエンジニアの母星を目指すために他のC型宇宙船の元へ→白巨人から小型エイリアン誕生

 

だもんで、LV.223に降り立ってからプロメテウス壊滅までは2日間。

でも最後のエリザベスのメッセージで、本日エンジニアの星を目指して出発するみたいなこと言ってたと思うんだけど、日付が1月1日なの。

プロメテウス号の特攻が12月22日か23日、エンジニアの星を目指してLV.223を出発したのが翌年の1月1日。

エリザベスとデヴィッドは1週間以上も何してたんだろう?

 

まぁどうでもいい部分です。

 

 

ちなみに、製作側は単体作品としても成立してるとか言っちゃっていて、さも「エイリアン」観てなくても大丈夫みたいな空気出してますが、とってもエイリアンシリーズなのは間違いなく、そこは覚悟すべし。

(でも「エイリアン」の舞台はLV.426で今回のLV.223と違う惑星で、スペース・ジョッキーの中の人も別個体です。違う話、ではあります。)

出来ればIMAX3Dで観ると満足度はかなり高く、さらに割引デーを利用して2Dで落ち着いてまた観るとかすると、チョー楽しいですよっっ。

 

次作が楽しみですねっ!

 

 

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『デンジャラス・ラン』 持て余した時間の有意義な使い方を学ぶ

DangerousRun南アフリカにあるCIAの極秘施設“隠れ家(セーフハウス)”。その管理を任された新米職員のマットは、退屈な仕事に不満を募らせていた。そんなある日、凶悪犯トビン・フロストが連行されてくる。かつてはCIA史上最高のエージェントと評された、CIAが最も恐れる裏切り者。ところが彼を収容して間もなく、トップシークレットのはずの隠れ家が武装集団に襲われ、壊滅状態に。フロストから決断を迫られたマットは、彼を連れて隠れ家から脱出することを決断。敵の正体も分からぬまま、たった一人でフロストを守らなければならなくなったマット。しかも逃亡のチャンスを窺うフロストから巧みな心理戦を仕掛けられ、精神的にも追い込まれていくマットだったが…。

 

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原題: Safe House

製作国: アメリカ

初公開年月: 2012/09/07

監督: ダニエル・エスピノーサ

製作: スコット・ステューバー

製作総指揮: スコット・アヴァーサノ、デンゼル・ワシントン、アダム・メリムズ、アレクサ・フェイジェン、 トレヴァー・メイシー 、マーク・D・エヴァンズ

脚本: デヴィッド・グッゲンハイム
撮影: オリヴァー・ウッド
出演: デンゼル・ワシントン(トビン・フロスト)、ライアン・レイノルズ(マット・ウェストン)、ヴェラ・ファーミガ(キャサリン・リンクレーター)、ブレンダン・グリーソン(デヴィッド・バーロー)、サム・シェパード(ハーラン・ホイットフォード)、ルーベン・ブラデス(カルロス・ヴィラル)、ノラ・アルネゼデール(アナ・モロー)、ロバート・パトリック(ダニエル・キーファー)

 

CIAの新米職員が、正体不明の武装集団に狙われた元CIA凄腕エージェントの最重要危険人物と共に決死の逃亡を繰り広げるノンストップ・アクション・サスペンス。主演は「アンストッパブル」のデンゼル・ワシントンと「[リミット]」のライアン・レイノルズ。監督はスウェーデン出身で本作が記念すべきハリウッド・デビューとなる期待の新鋭、ダニエル・エスピノーサ。

 

★予告★

 


CIAの“隠れ家(セーフハウス)”のひとつの“管理人”が、自分が担当する隠れ家を大物指名手配犯の尋問(拷問)の場に使われることになったと思ったら、大物を狙う武装集団に襲撃されて命からがら逃げたり応戦したりする中で目覚める話。

 

面白かった。

タイトルからはもっとお気軽アクション映画を想像していたら、シリアスなバイオレンスアクションだった。

主人公はデンゼル・ワシントンじゃなくてライアン・レイノルズ演じるマットだったように思う。

 

銃撃戦山盛り。カーチェイスもそこそこリアルで上がる。

カメラのアングルも良くて、ランガ黒人居住区の襲撃シーンなんか特にトビン、マット、追手の位置関係がわかり易く、それぞれの立場でのまどろっこしさが伝わる臨場感。

 

マットのスパイ能力が高いという設定は、トビンの行先を読めたこと、上司(デヴィッド)にカマかけたところで生かされているのかな?

トビンの他人の心理を操る天才という設定は、わざわざ強調しなくても良かった気がする。

 

終盤の“隠れ家”の“管理人”が、携帯電話の着信の後、マットに襲いかかったのは、昔トビンがCIAから嘘の暗殺理由を教えられてターゲットとは違う人物を巻き添えで殺したエピソードと同じように、“内通者”から適当な説明をされてマットを始末するようにと指示をされたのだろう、と推測。

 

この“管理人”がなかなか腐っていて面白い。マットに対する羨望を語る場面の死んだ目が気持ち悪くていい。

マットは「こういうふうになりたくない」と嫌悪しているのだろうが、しかし昨日までの自分でもあるわけで、たまらず目を背ける。

CIAの前線で活動していないから死や犯罪行為とは距離があるような、こういうヒマヒマな職員ですら自分の中の何かが死ぬのだという恐ろしさ。人道的、倫理的を踏み越えた怖さが垣間見える。

 

トビンの目的は自分で言っていたようにあくまでも金なのか、それとも正義感なのか?

やっぱり正義感のように思える。デンゼル・ワシントンだし。

 

DangerousRun_mat隠れ家でお留守番するCAI職員、というマットの設定がそもそも面白い。

人並みの上昇志向を持つCIAのヒマヒマな新人職員のマットが、トビンを保護して容赦無い執拗な追跡から逃げる中で、残虐性を見せるようになる。しかし最終的には正しい行いをする険しい道を選ぶ。なかなかの腕前だし、いい。

ただひたすら“その時のために待つ”のが管理人のお仕事。その時は来ないかもしれない。何が来るのかは当然決まっていない。人が来るとも限らない。

CIAに入ったんだから当然エリートで相当優秀な人材。なのに、なんだよこのつまんねぇ仕事・・・と、哀しくなったり惨めになったりしていることだろう。

単なる管理人なのに強すぎるのは、あまりにもヒマヒマ過ぎて身体を鍛えていたからだろう。泣ける。

 

 

続編あるらしいけど、トビン生きてたことになるのかちら。。

 

 

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『コロンビアーナ』 終わり良ければすべて良し

colombiana1992年、南米コロンビア。9歳の少女カトレアは、マフィアの大物が送り込んだ刺客によって目の前で両親を惨殺される。カトレアは決死の逃走の末に追っ手を振り切り、叔父のエミリオを頼ってシカゴへと向かう。両親を殺した者たちへの復讐だけを胸に成長したカトレア。15年後、凄腕の暗殺者となった彼女は、復讐相手へのメッセージとして必ず殺しの現場に自身の名の由来でもあるカトレアの花を残していった。マフィアがカトレアの暗殺に動き出す一方、FBIからも追われる身となるカトレアだったが…。

 

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製作国: アメリカ/フランス

初公開年月: 2012年9月

監督: オリヴィエ・メガトン

製作: リュック・ベッソン、アリエル・ゼトゥン

脚本: リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン

撮影: ロマン・ラクールバ

音楽: ナサニエル・メカリー

出演: ゾーイ・サルダナ(カトレア)、ジョルディ・モリャ(マルコ)、レニー・ジェームズ(ロス)、アマンドラ・ステンバーグ(カトレア(9歳))、マイケル・ヴァルタン(ダニー・デラネイ)、クリフ・カーティス(エミリオ・レストレポ)

 

脚本と製作を務めるリュック・ベッソンが「アバター」のゾーイ・サルダナを主演に迎え、復讐に燃える女暗殺者の過酷な戦いを描いたハード・アクション・サスペンス。監督は「トランスポーター3 アンリミテッド」のオリヴィエ・メガトン。

 

★予告★

 


「レオン」の血脈にあたる作品らしいです。マチルダが殺し屋として成長したらこんな感じってことでしょうか。

ちなみにわたしはリュック・ベッソンについて、勢いのある大味アクション馬鹿映画は好きで、「ニキータ」や「レオン」などは「そんなにいいか??」という立場です。

 

で、この「コロンビアーナ」ですが、「レオン」的な部分は、幼い頃に殺し屋のいるような環境で育ったというところはマチルダ、冷徹な殺し屋といった主人公の造形はレオンですが、恋人に素性を隠していたり、クライマックスで悪役のアジトに乗り込んでから、悪役達がボスに隠れるように指示して徹底的に戦ったり、ボスの戦闘力が低すぎだったりヘナチョコな最期だったりなんか観てると、「レオン」よりも「ニキータ」や「96時間」を思い出しました。てかまんまのような気がしますが、これは各作品に対する思い入れや記憶力の違いなどによるのかもしれないで、いやあれは「レオン」だ、と言われればそうなのかもしれません。言われてませんが。

 

colombiana_cataleya相変わらず脚本は大味でしたが、アクションや銃撃戦はテンコ盛りでサービス満点でしたよ。カトレアは子供時代も大人になってからも頑張ってました。超頑張ってました。

ただ個人的な好みとしては、どうしても銃の扱いが軽やかすぎで、スピード感はあるけどちとちゃちくて物足りないんだよなぁ。。

クライマックスの1対1での戦闘シーンの撮り方は面白いといえば面白いのですが、カトレアのシリアスな面とあんまり合ってなくて笑っていいんだか悪いんだか。笑わせるつもりじゃないでしょうけども。

無い物ねだりだとわかっちゃいるんですけどね。。

 

 

と、またしてもノリ切れず、監督よりも製作・脚本の親分ばかりに気を取られつつ物語は終わったわけですが、エンド・クレジットでJohnny Cashの「Hurt」が流れてガン上がり。なんとまぁ。一転ありがとうございますの気持ちに。

 

Hurt/Johnny Cash

 

 

ようするにあたしゃ、トレント・レズナーが漂えば、それでしあわせな気持ちになれるだけなのかもしれない。

だって仕方ないじゃん。好きなんだもん。

 

 

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コロンビアーナ [Blu-ray]
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