小説のネタを探していたカナダ人作家は、パイ・パテルというインド人男性を訪ね、彼の語る驚愕の冒険譚を聞くことになる――。インドのボンディシェリで動物園を営む一家に育ったパイ少年。やがて彼が16歳となったとき、一家はカナダに移住することになり、パイは両親や動物たちと一緒に日本の貨物船に乗り込むことに。しかし、途中で嵐に遭遇し、船は沈没。運良く救命ボートに乗り移ることができたパイだったが、彼と同じように辛くも逃げ延びたシマウマやハイエナ、オランウータン、そしてリチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラと同乗するハメに。こうして少年パイの過酷な漂流生活がスタートするのだが…。
----
原題: Life of Pi
製作国: アメリカ
初公開年月: 2013年1月
監督: アン・リー
製作: ギル・ネッター、アン・リー、デヴィッド・ウォマーク
原作: ヤン・マーテル『パイの物語』(竹書房刊)
脚本: デヴィッド・マギー、ディーン・ジョーガリス
撮影: クラウディオ・ミランダ
プロダクションデザイン: デヴィッド・グロップマン
編集: ティム・スクワイアズ
音楽: マイケル・ダナ
出演: スラージ・シャルマ(パイ・パテル(少年))、イルファン・カーン(パイ・パテル(成人))、アディル・フセイン(サントッシュ・パテル)、タブー(ジータ・パテル)、レイフ・スポール(カナダ人ライター)、ジェラール・ドパルデュー(コック)
ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルの世界的ベストセラー小説を3Dで実写映画化した衝撃と感動のサバイバル・アドベンチャー・ドラマ。監督は「ブロークバック・マウンテン」「ラスト、コーション」のアン・リー。
★予告★
少年とトラの友情を描いた感動のネイチャーモノかなぁと思っていましたが、どうもそう単純な話では無いらしいと知り、予告のトラの凶暴さとアン・リー監督の創る安定の映像美に期待して観てみました。IMAX3Dで。
映像が、いやー素晴らしかったです。
海、空、島、魚、動物。全部素晴らしい。
動物はほぼCGらしいのですが、驚きです。
トラが魚を捕ろうとして海に飛び込んで泳ぐシーンが超かわいくてねぇ。たまらんかったです。
話も、いやー良いっすよ。
何が凄いって、映像表現と物語が一致してるんです。それが両方ともえらいクオリティで、見終わってから恐ろしくなりました。あまりにも美しくて、幻想的で非現実的にさえ見える映像は、そうである意味と必然性があるという。
個人的には前半のインドがキレイ過ぎで、ちょっと鼻白んでいましたが、最後に納得しました。パイの話を映像で見せられてるのだから。
物語の解釈は様々ありそうですが、個人的には、宗教に限らず色んな意味での信心と、そこに必ず存在する落とし穴や葛藤を通過した、最終的には寛容についての話なのかなと思いました。
また物語の構成からは、美しい話と陰惨な話は対になることで、それぞれの背景を思い遣る効果が生まれ易いのだなぁとも思ったりしました。
トラとの話だけを聞いたならどこかに嘘くさいという気持ちを持つし、最後の人間4人の話だけを聞けば不快感を抱き、思考はその周辺をグルグル回るだけだったのかもなと。
とにかく文句なし。ちょっと無理してでも今観ておくといいと思います。ぜひ3Dで。
これだけの映像でも、10年後に見たらCG丸出しに感じるようになるんですかね。それとも5年でしょうか。
人間の、慣れという名の贅沢病は恐ろしい。
――――――――――
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 4枚組コレクターズ・エディション(特製ブックレット付) (初回生産限定) [Blu-ray]