【Side-A】バブル最盛期の1980年代後半、静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、気乗りしないまま参加した合コンで、歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。鈴木はマユに釣り合う男になりたいと自分を磨いていくが…。【Side-B】就職した鈴木は東京本社へ転勤となり、マユとは遠距離恋愛に。やがて東京本社の同僚・美弥子に心惹かれていく鈴木だったが…。
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製作国:日本
初公開年月:2015/5/23
監督:堤幸彦
原作:乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(文春文庫刊)
脚本:井上テテ
音楽:ガブリエル・ロベルト
出演:松田翔太(鈴木)、前田敦子(成岡繭子(マユ))、木村文乃(石丸美弥子)、三浦貴大(海藤)、前野朋哉(梵ちゃん)、鈴木夕樹
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巧みな叙述トリックで評判を呼んだ乾くるみの同名ベストセラーを「20世紀少年」「SPEC」の堤幸彦監督が、“映像化不可能”と言われた原作とは異なるエンディングで映画化したラブ・ミステリー。出演は松田翔太、前田敦子、木村文乃。
★予告★
堤幸彦監督作品にはまったく興味が無いのですが、叙述トリックの原作がどうなるのか興味があり、つーても堤幸彦だから基本的には原作そのままなぞるだけだろうと予想。なんだけど、マユ役前田敦子のキャスティングに惹かれて観ることに。
原作はもう手元に無いので正確なところはわかりませんが、やはりだいたい記憶にあった原作通りで大方の予想通り。
ただ、映画やドラマを鑑賞するにあたって、作り手と観客が共有するお約束的な側面を利用していて、その点についてはなるほどこの原作は適してると思った。
最後には過剰な説明が成されるため、二回観なくても大丈夫だと思います。もし映画だけではよくわからなくてもネットには原作のネタバレも山ほど転がってるし。
話はそもそも知っているので面白かったとか驚いたとかはそんなに無いのですが、ゆるく観れて疲れない。前田敦子も松田翔太も太っているたっくんの人も良かったし。
特に前田敦子は独特の世界を纏っていて映画の中ではしっくりくるというかどうにも目を奪われる。アイドル女優は顔ばかりアップにされがちですが、なにしろスタイルが良くて、パンプスの足元のアップだけでもじーっと見てしまいます。なんだろうこのご褒美いただきましたな気持ち。足と後ろ姿がとっても魅力的。あとあの特徴的な声も弱点のようでいて浮世離れした存在でいられるなかなかの武器であると思います。
あと細かい話になりますが、時代が昭和な作品はどうにもディテールが気になってしまう。
松田翔太の80年代っぽい雰囲気は良かった。前田敦子のファッションはう~んなんかちょっと違う感じ。。
個人的に特に気になったところはインテリア。
ペナントは古過ぎるし100均のファイルスタンドは無いし間接照明のスタンドライトは先鋭的すぎるし一人暮らしの冷蔵庫は大きすぎる。
挿入歌もちょいちょいおかしいんだけど、それは原作からしておかしい、というか原作者の好みの問題のように思えるので仕方無く、まあだいたいの雰囲気でってことで。
堤監督作品という一点が今回一番の危惧というか偏見材料でしたが、それなりに楽しめました。
ちなみに、乾くるみ独特の急に筆が乗り出す官能小説のようなエロ描写は映画の中にはありませんでした。軽いベッドシーン(キスあり)ぐらい。当たり前ですが。